2009年02月04日
告白

楽しませてもらっている作品でも
やめておけばよかったのになぁ、と、
思わせる映画の続編、長く続いているマンガ、
リメークした映画やマンガなどがある。
マンガで、一例を挙げるなら、
安彦良和様の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」などが
そういった作品で、
ガンダムファンならずとも楽しめるであろう
クオリティの高い絵とストーリーで
傑作といえると思うのですが、
今まで描かれる事の無かった
シャアの過去を詳細に描いてしまった為、
帰って底の浅いシャアが出来てしまった感じがして
惜しい。
アンなのは想像の中だからこそ、
底知れない凄みがあるのだから
ベールに包んでおいたほうがよいのでは?
と、考えます。
ちまたで話題の本、
湊 かなえ著の「告白」を読んだ。
新人の作品にして、
週刊文春2008ミステリーベスト10の
1位の作品なので、過去の受賞作品を考えても
面白そうなことが予想された作品です。
一つの事件から始まり
それぞれの関係者の独白で話が進む短編集なのですが、
非常によく練られていて、
最後まで一気に読むことが出来ました。
―が、非常に後味が悪い。
例えば横山秀夫著の「半落ち」なども
一つの事件から始まる話を
それぞれ立場の違う関係者の目線で
真実を追って行く話だったのですが
登場人物がよく掘り下げられていて
それぞれが温かみのある人物像となって
気持ちよかったのですが、
「告白」は語り手であるそれぞれの人物が
肥大した自己愛とエゴの塊といった感じで、
正直に言っていたたまれない。
ずいぶんと気持ちの悪い作品と
なってしまっているというのが、
正直な感想です。
1冊の本として、よく出来ているとは思いますよ。
―でも、すべて書き切ってしまわないで、
最初の短編「聖職者」のみだったならとか、
この連作以外の短編も含め、
3・4冊の中からこのシリーズの物を
ちりばめて発表された物だったなら、
ちょっと違った感想だったかもしれません。
話題作としては非常に不満の残る作品でした。
Posted by ばるたん (V)o¥o(V) at 15:49│Comments(0)
│読書・本・著者
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